いや〜。くだらなかった!でも最高におかしかったです。でも評価がはっきり分かれるんだろうなぁ。
この映画を今から見よう、もしくはDVDなりビデオなりが出たら借りようと思ってる方に守ってほしいいくつかのポイントがあります。
一、この映画を深く解釈してはいけません。
一、この映画に深刻な意味を求めてはいけません。
一、この映画を真面目に見てはいけません。
一、場内が明るくなるまで、決して決して帰ってはいけません。
以上。この下からネタばれ満載でいきます。
↓下へ下がってください。
あらすじとしては、小心者で心配性でパニック症の会計士レオ・ブルームと、売れないブロードウェイのプロデューサーのマックス・ベアリトクスは、ショーが大コケすればするほどプロデューサーにお金が回るというショービズ界のカラクリ(もちろん不正)に気づく。
そこで、最低の脚本に最低の演出家、最低の役者を揃えて大もうけをしようと考える。が、ショーは予想とは反対にヒットして……。てな具合です。
始めっからハイテンション&悪趣味紙一重。おかしいおかしい。
何がおかしいって登場人物。特に脇役たちは主人公を喰いそうなくらい濃いです。
脚本家フランツ・リープキンはネオ・ナチの党員で(台本名は「春の日のヒトラー」)彼の友達はハト(笑)
彼とハトのやりとりは言葉では説明できないくらいおかしいです。その中で一番のお気に入りのシーンは以下のとおりです。
リープキンがアルゼンチンまで伝書バトで手紙を届けようとする。彼はハトの首に手紙をかけながら「S.A.P(なる早で)」と命令する。
だがハトは意味が分からず、「クルック?」と首をかしげる。キレた彼は「Soon as possible!!!(なるべく早く!!!)」と言い直す。
……ププっ!とにかくハトがいいです。リープキン役のウィル・フェレルもいい味出してました。
演出家のロジャーと助手のカルメン(男)も良い!!
ロジャーはしょっぱなから強烈なドレス姿。顔立ちとしてはメル・ギブソン系なのでものすごいインパクトでした。
そして助手のカルメンは言うなれば典型的な芸術肌のゲイ。「イエス」という時のスつまりSの音を長〜く言うのが癖。多分軽く20秒は伸ばしてたはず。
彼らが歌う「全てをゲイに」(ゲイという言葉は英語では楽しくといった風な意味も含みます)は最高!!
そしてレオとマックスの前に現れる金髪スウェーデン美女のウーラ役にはウマ・サーマン。
彼女を映画で見るのは初めてでしたが、案外かわいい笑顔と声で好感度高いです。そしてナイスバディ!!自分と比べて絶望……する必要すらない……くらい素敵でした。
その他名前は出てないけれどおかしな人たち満載。
死ぬ前にもう一度甘い気持ちを味わいたいと、マックスにすりよる色ボケのおばぁさんたち。
総勢50人のおばぁさんが歩行器をつきながらマックスの後ろをついて回るダンスがシュールでよかったです。
不正がバレてマックスは裁判にかけられます。
その時しかめつらしい顔をしていた陪審員が、ブラジルのリオに高飛びしていたレオがサンバのリズムと共に裁判所にやってきた途端サンバのリズムに合わせて踊り狂う。
あの演出好きです。
とにかくくだらないこの映画。でも、歌の作り方やダンスは超一級品です。
雰囲気としては50、60年代のブロードウェイ黄金期を意識したつくりとなってます。ミュージカルがショーと呼ばれてた時代のような。
ダンスは小道具の使い方が本当に見事です。
振り付けは、この映画の監督もしたスーザン・ストローマン。私の大好きな振付師です。
彼女の手にかかれば会計士が使う計算機も、おばぁさんの歩行器も、ハトもみんなダンスのための道具に早変り!う〜ん。お見事。
でも、私が最も好きなのは本編ではなく、エンドクレジットだったりします。
普通の映画だとエンディング曲が流れたり、今まで流れてきたBGMが流れたりしますよね?
プロデューサーズもそうです。エンディング曲が流れます。一曲目は。
もう一曲。これがくだらない。
レオとマックスがリープキンに初めて会いに行った時に、リープキンがナチスへの忠誠を試すために歌ったくだらない曲
(グーテンタッグ トントン♪ グーテンタッグ パンパン♪といった感じでナチスとすら関係ない曲)が流れるのですが、それがバラード調に変化してるんですよ!
言うなれば映画のテーマになりそうなくらい感傷的なバラードに。
くだらない!!!でも笑いが止まりませんでした。
そして、バラードによくありがちな曲の最後に入る語り。これもまたおかしくて……。アマゾンって!オイ!!!
そして、クレジットが完全に終わったあと、出演者が全員登場して「これで本当に終わり」的な曲を歌ってくれるんですが、こういう粋な演出大好きです。
さて、ここからはこれから見ようと考えてる方に対してちょっとした言葉を。
「プロデューサーズ」という作品は、トニー賞を史上最多の12部門獲得したことがセールスポイントとなっていますが、
トニー賞の選出をするのはアメリカの人であり、これを造った人もアメリカ人であるということを頭の片隅に置いておいた方がいいと思います。
というのは、この作品はかなりアメリカ的なジョークが飛ばされるからです。
たとえばライオン・キングやオペラ座の怪人のように、誰もが楽しめて感動できる作品とは根本から違うと私は感じます。
面白いと思う人もいれば悪趣味と思う人も出てくる。そんなタイプの作品でしょう。
ご覧になる前に自分は平気かなと考えた方が無難だと茶釜は思います。
それでも、ショーの製作の裏側や、華やかなショービジネスの世界を垣間見えるという点でも素敵な作品だと思います。
さぁ、今度は「レント」が楽しみだ!!
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