<キャスト>
ブリンズリー・ミラー 石丸 幹二 キャロル・メルケット 坂本 里咲 ミス・ファーニヴァル はにべあゆみ
メルケット大佐 岡本 隆生 ハロルド・ゴリンジ 栗原 英雄 シュパンツィッヒ 川口 啓史(劇団俳優座)
クレア 八重沢真美 ゲオルグ・ハンベルガー 高橋 征郎(劇団民藝)
<あらすじ>
場所はロンドン。若く無名の、自称彫刻家のブリンズリーのアパートの一室。
彼はフィアンセのキャロルと共に、美術収集家の大富豪バンベルガーの到着を待ち焦がれている。
また、今夜はキャロルの厳格な父親が、娘の婚約者としてふさわしい人物かどうか値踏みしにやってくる日でもあった。
彼にとって今夜は一世一代の大チャンスの時なのであった。
そこで、彼とキャロルは少しでもキャロルの父の心証を良くしようと、旅行中の隣人で古美術商のハロルドから、無断で高価な家具を借りてくる。
ちなみにハロルドは、ブリンズリーに友情以上の好意を寄せている。
全ての準備が整った瞬間、突然停電が発生。
マッチもロウソクも、懐中電灯も見つからない状況の中、階上に住むミス・ファーニヴァルが避難してくる。
さらに、キャロルの父のほか、旅行を取りやめて帰ってきたハロルドや、ブリンズリーの元彼女のクレアまでもが現れる。
ブリンズリーはパニックに陥りつつも、ハロルドの家具を元に戻し始め、また全員の機嫌をとるためにウソにウソを重ねていく……。
いや〜、笑った笑った!自分でも意外なくらい笑いました。
まず何がおかしいって状況設定。
この舞台は、ほとんど停電状態の中で繰り広げられるわけですが、何と、普通に電気がついている時は舞台は暗く、停電時に舞台が明るくなるんですよ。
なので、本当は見えている役者が、まるで見えていないかのようにぎこちなく動いたり、ちぐはぐな動きをしているのが丸見えなんですね。
たとえば、間違えて女性の胸を触ってしまったり、お互い全然違う方向に挨拶したり。
暗いからこそ起こりかねない事態に大爆笑。
他にも色々おかしいんですが、何ともここに書くのは難しい……。
家具を何とかみんなに気づかれないように戻しに行くのがおかしかったです。
椅子の脚のすきまが人の顔を通ったり、一歩間違ったらばれてしまう所ギリギリをいくんです。
今思い出しても笑ってしまいます。
停電なのに明るい。しかも舞台上では大騒ぎというのが、穴から覗き見している感覚でハラハラしました。
人物設定もおかしいおかしい。
主役の石丸さんは、いわゆる王子様なキャラクターを演じることが多かった方。「オペラ座〜」のラウルとか。
でも、今回は婚約者と元カノの二股をかけ、しかも保身のためにウソをつきつづける不誠実な男。
新境地開拓という具合ですね。それでも憎めないのは、もう彼の人柄でしょう。
キャロルは、ちょっと頭の軽いお嬢様。演じてる坂本さんは、スキッとした容姿の持ち主なのですが、ものすごく可愛かったです。
ミス・ファーニヴァルは、どこにでもいそうな気のいいおばさん風。
「お酒飲むの禁じられてましたから」と断っておきながら、ちゃっかり暗闇に乗じて飲んでしまったり。こちらもかわいい。
ハロルドはもう、役得でしょう。ブリンズリーに友情以上の好意を抱いている、耽美的なお方。
暗闇の中でうっかりブリンズリーの頬と密着してしまった時の恍惚具合が爆笑。
また、キャロルとの婚約を知らされた時の「あんたが誰と婚約しようと勝手よ。ただ……ちょっと……ガッカリしただけよ」の言葉と表情も最高!
その他にも、異常に美術に詳しく、バンベルガーかと思わせておきながら、実は修理工だったとか。
最後の最後まで、ブラックな笑いに包まれていました。
お客さんの反応も非常によく、最後スタンディングオベーションが起こったぐらいでした。
茶釜は、ちょいと内気な方なので立ちはしませんでしたが、最大級な拍手は送らせていただきました。
自由劇場は小屋が小さいので、3150円の一番安い席なのに、すごく舞台と近くてよかったです。
さぁ、次は何を観にいこうかな?
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